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INTERWEAVE2022】レポート 第2回ワークショップ
福井を中心に展開するパートナー企業と外部人材がそれぞれのスキルをかけあわせて事業創出に取り組むプログラム「INTERWEAVE(インターウィーブ)」。2022年11月26日(土)・27日(日)、第2回目のワークショップが行われました。
前回のワークショップでは、パートナー企業を訪問し、プロジェクトを進める3つのチームが決まりました。今回はいよいよ本格的に活動がスタートします。
メンバーが注目したのは「角文」のものづくりへの思い。チームの中では早い段階から「プロダクトを作る」という方向性が定まっていたのだそう。
角谷社長はこう話します。「書く行為には無限の可能性やポテンシャルを感じます。デジタルの普及で忘れていたというより、アナログの良さが浮き上がってきたと考えるべきかもしれません。私も含めてメンタルが不安定になりがちな今こそ、福井ならではの文具を商品化して多くの人に届けたいです。」
ミーティングを重ねる中で出てきたのは、「禅」と「整う」というキーワード。その言葉の意味をひもとくことで、プロダクト作りのアイデアが浮かぶのではないかと考えました。
そこで訪れたのは、福井が誇る曹洞宗の大本山永平寺。
ここでは1日3回、坐禅体験が行われています。禅の3つの基本は、身を調える「調身」、呼吸を調える「調息」、心(精神)を調える「調心」。心構えや作法を学び、実際に坐禅を組みます。
坐禅体験が終わったメンバーの様子を見ると、どことなく清々しい表情に。「整う」や「禅」の意味について、どう感じたのでしょうか。坐禅を初めて体験するメンバーも多く話が尽きません。
永平寺の門前町に店舗を構える「井の上」にも立ち寄りました。実はこちらは、昨年のINTERWEAVEに参加したパートナー企業。オーナーの井上さんに、プロジェクトを通してどのような変化があったのか伺いました。
「昨年のINTERWEAVEへの参加は、とても意義あるものでした。一番変化があったのは物の見方かもしれません。課題を解決するための人材の活かし方もそうですね。今後の新しい取り組みとして、学生が参加できるプロジェクトも考えています。」
市内の拠点「XSTAND」に戻り、永平寺の訪問について振り返ります。
「整うことを五感で感じる貴重な体験でした。今までは書く行為そのものに着目していましたが、実はその前の所作が大切なのかもしれません。
座禅を組む前には、アクセサリーや腕時計を外して靴下も脱ぎます。身支度を整えて決まった所作を行うことで、外界を遮断し自分と向き合う環境ができるのだそうです。この考えは永平寺に来なければ知り得なかったことですね。」
角谷社長も、このように振り返ります。
「書く行為は内観に似ているという気づきもありました。今回の座禅体験で自分たちの考えが整理できたと思います。
永平寺の精神性や禅の所作に、角文の強みを組み合わせたい。書くことで頭のモヤモヤが解消されて心が整う、そんなプロダクトにしたいです。」
今回のテーマは、「森八大名閣とお菓子のことを知る」。県内にある4つの店舗を訪問しました。
カジュアルな店構えが幅広い客層に人気の「エンゼルランド店」、生菓子を販売している「オルロージュ」など、それぞれの店舗にコンセプトがあり、工夫がされています。
中でも個性が引きたつのはチョコレート専門店の「日和」。ビーントゥバーチョコレートを使った商品を販売しています。古民家を改装した店舗の扉を開けるとカカオの香りがふわり。中にはカフェが併設されており、お出かけスポットとしても人気だそうです。
訪れたメンバーも、日和の店舗は印象深かった模様。
「日和はお菓子だけではなく、雰囲気も商品の一部のように感じました。和菓子に馴染みのない世代にも人気が出そうです。」
プロジェクトにどう落とし込むか、想像がふくらみます。
夜は、森八大名閣の従業員の方と懇親会を行いました。ブランドの強み、会社に入った理由など、普段は聞けない本音にせまります。中には「会社に変えて欲しいところ」といった、少し厳しい質問も。最初は緊張していた従業員の皆さんもだんだんと打ち解けて、あっという間の3時間だったようです。
森社長は「最初は社員のみんなも緊張した様子でしたね。このINTERWAVEの取り組みも、あまり知らなかったと思いますし、僕自身もどうなることか少し心配していました。けれども、思った以上に本音を話してもらえた気がします。お互いに意見を交わすのは生産的だし、とてもよい時間でした。」と話します。
店舗訪問や社員の方との交流を経て、今回のテーマである「知る」ことは達成できたようです。森八大名閣の強みや福井を日本一の故郷にしたいという社長の思いを生かして、具体的なアウトプットを考えたいそう。ここからどんなシナジーが生まれるのでしょうか。
今回のプロジェクトでは、「イクラボ」が新しくオープンする恐竜ランドセル専門店、「ダイナソーベース」のアイデアを生み出します。
山田社長は「イクラボの中で恐竜ランドセルが一番の人気商品。そこで恐竜専門店を作ろうと思ったのが、ダイナソーベース誕生のきっかけです。世の中にまだないお店ができるように、新店舗の概念から考えたいですね。」と話します。
福井大学の恐竜学部開設や、恐竜博物館のリニューアルなど、ますます注目が集まりそうな「恐竜王国」としての福井。目指すのは地元の企業だからこそできる、誰にも真似できないブランド作りです。そこで今回は、恐竜をコンセプトにした2つの施設を訪問しました。
まず訪れたのは、恐竜やクラゲの展示を扱う「古代生物ミュージアム」です。入り口には日本初の恐竜専門店「HAKUA」がありました。ミュージアムには化石や生きたクラゲが展示されており、随所にオーナーのこだわりが感じられます。
次に訪れたのは、福井の観光スポットにもなっている「福井県立恐竜博物館」。恐竜を中心とした国内最大級の地質・古生物学博物館です。
併設されたミュージアムショップは品揃えがとても豊富で、さまざまな恐竜グッズがずらり。知育玩具や模型など、商品開発の参考になりそうなものが揃います。
「XSTAND」に戻り、改めて恐竜専門店のビジョンやミッションを話し合います。訪問を経て、また新しい視点が増えたようです。
「イクラボは育児支援をしたいという思いから始まった会社です。ダイナソーベースも、子育てに貢献できるような場所でありたい。幼児期から恐竜に触れて探究心を深めるグッズや、ファンコミュニティを作るのもよいかもしれない。」と、山田社長は話します。
恐竜好きのお子さんを持つ蔵田さんはこう言います。
「実はこのプロジェクトに参加するまで、恐竜ランドセルの存在を知りませんでした。まずは認知度を上げる工夫が必要だと感じました。保育園などで使うものから自然にイクラボのことを知り、ダイナソーベースと接点を持つ導線も良いですね。
例えば、神経衰弱やパズルなどの知育玩具は、幼少期に自然に触れるもの。そういったところは興味を持ちやすいと思います。それをどうやってダイナソーベースの商品だと印象付けていくか、これは今後の課題です。」
第2回目のワークショップも無事に終了。現地視察やディスカッションなど、充実した2日間だったようです。次回はいよいよ中間発表。チームそれぞれの思いが、どのように形になるのでしょうか。
(Text:Mayu Nishikawa Photo:Ikki Kurahashi)