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Interweave2022

【INTERWEAVE2022】パートナー企業紹介 〜角文〜

福井を中心に展開する企業とともに事業創出に取り組むプログラム「INTERWEAVE(インターウィーブ)」。昨年にスタートし、2022年も10月から新たな活動がスタートします。本年度参画するパートナー企業をご紹介していきます。

スタートは、福井大学生のための文具店

パートナー企業3社目は、福井大学前で文具店を運営する「角文」です。福井市内の文具店では最も歴史が古く、店舗での販売をはじめ、メーカーとして製造小売業も行っています。

角文の創業は戦後まもない昭和21年。現在のえちぜん鉄道「西福井駅」周辺はバスのUターン場所となっており、福井大学に通う多くの学生たちの通り道となっていました。「その場所で試しに文房具を売ってみたら?」と、当時、越前市で文具店を営んでいた親戚の勧めで文具を販売したところ、飛ぶように売れたそう。そこから福井大学の学生たちの文具・事務用品店として商売をスタートしました。

▲現在も大学教員や学生が訪れる店内。論文の製本サービスも行なっている

 

現在、代表取締役の角谷恒彦さんは3代目。

「大学は県外で土木工学を学び、卒業後は大手の道路会社に就職するなど、家業とはまったく異なる道を歩んでいました。しかしバブルが崩壊し、27歳の時に地元に戻って家業に入ることを決意しました」

 

家業に入る前には東京の問屋で修行していた角谷さん。企業向けのノベルティの開発や購買システムなど、文具を通して小売だけではないさまざまな業態を学んだことが、その後の商売に活かされたと言います。

地域に根ざした文具店として、一般小売はもちろん、福井県内の上場企業をはじめとした企業に事務用品を納品するなど、順調に事業を広げてきた角文。

2003年に法人化したタイミングで角谷さんは代表取締役となり、カタログ通販「アスクル」の代理店として通販事業やネット通販も開始するなど、着実に販路を拡大していきました。

 

メーカー機能を持つ文具店へ

転機は2010年のこと。県が企業の新規事業をサポートする「福井県経営革新」の事業者に認定され、角谷さんがこれまで取り組みたいと思っていた新たな事業に乗り出します。

 

その事業とは、メーカーとして新たな文房具を作るということ。

 

「時代の流れとともに、『価格が安いもの』に流れていく風潮があるなか、品質の伴ったものづくりをしたいという思いがあったんです」と角谷さん。そこで、「紙」と「筆記用具」「ファイル」の3つの商品開発に乗り出しましたが、平坦な道のりではありませんでした。

 

「紙は万年筆に合うなめらかな描き心地の上質なものを、越前和紙を使って作ろうと思いました。紙漉きの職人さんを探すところから始まり、納得いく品質のものが生まれるまで紆余曲折あり4年近い歳月がかかりました」

▲万年筆に合うといわれる“レイド”という簾の目が入った高級紙を越前和紙で再現。越前和紙の紙漉き技術では難しい両面とも滑らかな紙が誕生しました

 

万年筆に合う両面筆記和紙は2014年に商品化。高級筆記用紙の代名詞「フールス紙」から名前を取って『越前フールス和紙 福乃ここ千手帳』として販売にこぎつけることができました。しかし、上質ゆえに大量生産できないことや、価格や販路の面でまだまだ課題があると角谷さんは言います。

 

一方、筆記具は福井の伝統工芸である漆芸の「蒔絵」を使ったボールペンを作ろうと考えていたそう。「こちらも納得できる金具を探していたのですが国内では提供してくれるメーカーがなく、ドイツから部品を取り寄せることになりました。さらにインバウンド向けに着物の帯にさせる和装に合うボールペンなど、アイデアを発展させていたらこちらも時間がかかりましたね。商品化まであと少しというところです」

 

世界で一つだけのオリジナルファイル専門店

3つのなかで最も早く商品化したのが「ファイル」。現在、角文ではオーダーファイルの専門店として、2011年からオリジナルファイルブランド『ONFILE』の製造販売を開始し、全国から注文が寄せられています。

▲革の組み合わせは無限大。中面には、伝統的な織物の復元の第一人者として織物の地位を「芸術の域」にまで高めた「龍村美術織物」の生地を使用したものも人気


『ONFILE』では、「人とは違うものがほしい」「高級感のある文具を身につけたい」といったニーズに応えるべく、ファイルに使う革や中面の布地など、無数の組み合わせから世界でたった一つのファイルが制作可能。

自社で縫製から仕上げまで行っているため、きめ細かく対応してもらえるとユーザーからも人気です。

 

文具で福井を元気にしたい

時間をかけながらも、本当にいいものを作りたいという思いで文房具と向き合ってきた角谷さん。これまで一人で商品開発を行ってきたため、INTERWEAVEでは多くの人が関わりながら新たなアイデアや刺激を受けることができれば…と期待を寄せています。

 

「ちょっといいものを持つと気分が上がったり、仕事を頑張ろうと思えたり…。ものから与えられるパワーってありますよね。そんな誰かの向上心に寄り添えるのが文具の良さだと思うんです。福井らしさを取り入れながら、文具でこのまちを元気にしたいですね」と語ります。

子どもから大人まで身近な文房具。角文とINTERWEAVEメンバーでどのような化学反応が起こるのか、これからの展開に目が離せません。

TEXT:石原藍(vue) PHOTO:明直樹(MOv)

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