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Interweave2022

【INTERWEAVE2022】パートナー企業紹介 〜森八大名閣〜

福井を中心に展開する企業とともに事業創出に取り組むプログラム「INTERWEAVE(インターウィーブ)」。昨年にスタートし、2022年も10月から新たな活動がスタートします。本年度参画するパートナー企業をご紹介していきます。

福井の歴史とともに歩み続ける老舗和菓子屋

最初にご紹介するのは、地元福井市を中心に絶大な支持を集める老舗和菓子屋「森八大名閣」です。昭和8年に東京で創業。戦後、疎開のため福井で開業し、福井の歴史とともに歩み続けてきました。

現在は福井市の中心街にある本店をはじめ、県内に4店舗を展開。四季折々の味覚を取り入れ意匠を凝らした上生菓子や季節菓子、福井が誇るミディトマト「越のルビー」を使ったゼリーや世界各国のココア豆からビーントゥバーで作るチョコレートなど、和洋問わず訪れる人の五感を常に楽しませてくれます。

森八大名閣の三代目である森雅信さんは県外の大学を卒業後、パリで2年半ほど菓子修行のため渡仏。その後家業に入り、34歳の時に代表取締役に就任しました。

「当時は菓子産業に勢いがあり、とにかく美味しいもの、いいものを作りたいという気風が業界全体にありましたね。私も“日本一いいものを作りたい”という思いで、よく東京や大阪を訪れ勉強していました」と当時を振り返ります。

全国から注文が殺到した「伝兵衛」

県外の催事などにも積極的に出店していた森八大名閣。全国各地の菓子店と肩を並べるなかで、次第に森さんの考えに変化が起こります。

 

「東京の催事に呼ばれて出店すると、存在感のなさをまざまざと感じさせられましたね。いくら頑張っていてもいいものを作りたいと考えている人は全国にはたくさんいる。ただ美味しいだけじゃない、自分たちにしかできない強みは何だろうと考えているなかで、地元・福井に回帰しようと思ったんです」

休日には地元の農家を回り、菓子づくりに適した素材はないか探す日々。しかし、菓子づくりに必要な収穫量が見込めないなど課題も多く、なかなか思うような素材に巡り会えなかったといいます。

 

そんなある時、食卓で出されたトマトに衝撃を受けたという森さん。

 

「あまりに美味しくてね。どこで買ったのか家内に聞き、あわら市の農家・麻王伝兵衛さんに出会ったんです。一般のトマトは流通の間に完熟するよう、少し早く収穫するのですが、伝兵衛さんのトマトは常に完熟の状態で収穫して行商スタイルで販売するので、甘みが違う。このトマトでゼリーを作ろうと思いました」

そうして完成した越のルビーのゼリー「伝兵衛」は県の観光土産部門で最優秀賞を受賞。さらにテレビで取り上げられたことをきっかけに全国から注文が殺到するなど、大ブレイクを果たしました。

さらに2019年には県内では珍しい、カカオ豆からチョコレート菓子まで一貫して作るビーントゥバーのチョコレート専門店「山奥チョコレート 日和」を福井市の足羽山にオープン。

パリでの修行時代、ショコラティエで働いた経験から、本格的なチョコレートを作りたいと実験的に始めた事業でしたが、こちらも若い世代を中心に人気を集めています。

時代の変化を見据えた老舗の覚悟

老舗でありながらも時代に合わせた新しい挑戦を続けている森八大名閣。今回なぜINTERWEAVEに参加しようと思ったのでしょうか。

 

「和菓子の世界には100年残る商品もありますが、人々のライフスタイルや好みが変わるスピードは驚くほど早くなっています。私たちが求めている価値観と実際の価値観のズレを感じることも珍しくありません。経営者として事業を行っていると、『ビジネスモデルはこうあるべき』というロジックにしばられがちですが、INTERWEAVEはそのような制約がないので、うちがなにをしなければならないのかフラットに見えるような気がしました。いい意味でゆるい雰囲気のなかで、雑談のようなコミュニケーションを通してアウトプットを出していく。これまでの福井にはなかった取り組みなので大変楽しみにしています」

「お菓子屋さんは“地域の文化の代名詞”」と語る森さん。

2024年に控える北陸新幹線開業を見据え、地域の人たちが誇りを持って紹介できるような「福井を代表する菓子作り」にも取り組みたいと意欲を見せます。

 

さまざまな分野の人材が関わることで、老舗にどのようなイノベーションを起こすことができるのか、これから始まるINTERWEAVEの活動に期待が高まります!

 

TEXT:石原藍(vue) PHOTO:明直樹(MOv)

 


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