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Interweave2022

【INTERWEAVEプロローグ】パートナー企業紹介 〜永平寺門前 井の上〜

2021年、福井を中心に展開する企業とともに事業創出に取り組むプログラム「INTERWEAVE(インターウィーブ)」。2社目のパートナー企業をご紹介します。

多くの参拝客が足を運ぶ「井の上」


2社目にご紹介するのは、曹洞宗の大本山永平寺の門前町に位置する「井の上」。1929年(昭和4年)創業以来、食事処や土産物屋として多くの参拝客に親しまれている店舗のほか、若い雲水(お坊さん)が永平寺に入山する前に決められた身支度を整える場所としても機能しており、永平寺の修行道場としての側面にも大事な役割を果たしています。

 

近年はオリジナル商品も多数生み出している井の上。2021年に誕生した「永平寺だるまぷりん」は発売開始と同時に多方面で話題になっています。

 

その仕掛け人は井の上四代目となる井上才蔵(さいぞう)さん。幼い頃から永平寺の門前町とともに育ってきました。


「井の上は僕の曾祖母が創業しました。今よりもう少し離れた場所でお店を営んでいて、主にお寺の方に食事を賄っていたんです。当時の永平寺は今のように観光地化されていませんでしたが、昭和初期に電車(京福電気鉄道)が永平寺まで開通し、それと同時に今の場所にお店を移転しました」

 

バブル期には全国から多くの参拝客が大型バスで押し寄せるようになり、門前町も団体客に対応できるような大きな建物が立ち並んでいたそう。しかし2002年に鉄道が廃線となり、大型の参拝ツアーも個人旅行へと観光のあり方が変化していきました。

Uターンして感じた観光地の課題

高校まで永平寺町で育った井上さんは、大阪の大学を卒業後、化粧品会社に入社。数々の企画開発に携わりましたが、結婚を機に地元にUターンし、4年前に家業に入りました。

 

幼い頃からお店を手伝うことも多かったという井上さんですが、福井に戻り、あらためて時代の移り変わりを目の当たりにしたそう。なかでもオリジナル商品の必要性を感じたといいます。

「門前町はいくつもの土産物屋がありますが、同じようなものしか売っていないくて面白みがないと思っていました。井の上は門前町のなかでも最も永平寺から離れている場所にあるので、同じ商品を売っているだけでは勝負できないと思ったんです」

 

そこで、化粧品会社で培った企画力を活かし、次々と新商品を開発。例えば、昔から福井にある「けんけら」や「羽二重餅」もポップなデザインのパッケージにすることで、若い世代のお客さんが手に取るようになりました。

 


リパッケージだけでなく、地元・永平寺で採れる産品にも注目。永平寺在来種の蕎麦粉を使った乾麺もお土産物として人気です。


さらに北陸新幹線の福井延伸を控え、子どもからお年寄りまで愛されるような井の上オリジナルの商品をつくり、改めて地元の方に永平寺に足を運んでほしいと2021年には店舗横にプリン専門店をオープン。禅と深いかかわりのある達磨大師にちなんで「永平寺だるまぷりん」と名付けました。

 

かわいらしいパッケージはもちろん、素材も福井県産にこだわり、一つひとつ手づくり。永平寺の新たな名物としてSNS等で話題になり、週末になると2000個近く売り上げることもあるそうです。

旅の記憶に残る存在を目指したい

「Interweaveへの参画は、普段出会うことのないような人と接することができればという思いから手を挙げました。新しいことをやって損はありません。一人で大きなことを成し遂げるのは難しいですが、多くの知見を得て永平寺エリアをはじめ福井の観光を盛り上げていきたいですね」

 

“この訪問を思い出に”をモットーに、永平寺の門前町で記憶に残る存在を目指す井上さん。さまざまな商品を通じて永平寺や福井の魅力を発信するだけではなく、将来的には地元で獲れた農作物を使った六次化にも挑戦したいと意欲を見せています。

 

(text:Ai Ishihara  Photo:Kyoko Kataoka)

 

 


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