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アイデアをかたちにする 〜第三回・第四回ワークショップ〜

前回のワークショップで今も活動を続けている一期生の姿に刺激を受け、自らの原点に立ち戻る大切さを痛感した受講生たち。すべてのチームが、個人の想いと3人でかたちにしたいアイデアを何度も行き来する苦しい時間が続きます。それでも一歩ずつ前に進み始めた7つのチーム。今回は第三回・第四回ワークショップの模様をお届けします。

 

かたちにすることで生まれる新たな課題

2017 年111819日に行われた第三回ワークショップは、各チームのプレゼンテーションからスタートしました。前回から何を考え、どんなリサーチを進めてきたのかを順番に発表していきます。

前回のワークショップからの課題は「プロトタイプ(試作品)を制作すること」。各チームがそれぞれのアイデアをかたちにしてきました。

▲シルクの特性をインナーマスクに取り込んだアイデア。

 

▲福井名物をシルクのスカーフにプリントした、その名も「おもてなシルク」。

 

▲桑からシルクができるまでの流れをギフトにしたチーム。

 

▲メディア運営を考えているチームはウェブサイト案を披露。

 

▲味噌でパンにメッセージを書くアイデアを発表したチームは、なんと食べて実演。

 

アイデアの段階では好感触でも、かたちにするとイマイチだった……ということも少なくはありません。頭で考えるだけではなく、自分たちで手を動かしプロトタイプをつくることで、はじめて気づけることはたくさんあります。

 

誰にどんな価値を生み出せるのか? 本当に自分たちがかたちにしたいことなのか?

常に問いかけながら、試行錯誤を続けます。

3歩進んだと思ったら2歩下がる、の繰り返し。各チームの悩みは尽きません。

 

チーム別面談がスタート

第三回ワークショップからはチーム別面談も始まりました。各チームが何を考え、どんなことにモヤモヤしているのか、進捗報告をします。講師たちのアドバイスを受けながら、自分たちがやるべきことやもっと深く考えていくべきことを確認していく大事な場です。

▲チーム別面談ではチームのメンバーと講師、パートナー企業のみなさんが机を囲みます。

ときには講師たちから鋭い言葉を投げかけられることもあり、講師3人を前にした面談はなかなか緊張する時間です。しかし、講師陣の的確なアドバイスは、受講生たちにとって気づきの連続! メンバーだけのコミュニケーションでは気づくことのできなかった新しい視点を発見しながら、アイデアのブラッシュアップを進めていきます。

▲パートナー企業のみなさんからも随時アドバイス。業界内の動向や相場観など、貴重な情報ばかりです。

XSCHOOL二期生を少しご紹介します!

受講生たちはどのような想いで進めているのでしょうか。今回はいくつかのチームに話を聞いてみました。

 

会社員の青山海里さん、プロダクトデザイナーの中井詩乃さん、編集者の松本一希さんのチームは福井、大阪、東京と3人とも住む場所がバラバラ。普段は主にビデオ通話で連絡を取り合っているそうです。

▲左から松本さん、中井さん、青山さん

 

「私たちのチームは興味のある物事に対して熱くなることから『沸騰』という名前をつけています。たぶん、3人とも我が強くてマイペース(笑)。だからこそ相手に寄り添い理解しようとすることに時間がかかっていますね」と中井さん

まさに3人で生み出す苦しみを味わっている最中だという“チーム沸騰”。仲間のことを丁寧に知っていくプロセスは時間がかかるかもしれませんが、これからアイデアを固めていく上で必ず生かされるはずです。

 

 

デザイナーの瓦井良典さんと広瀬祥子さん、会社員の山下敬大さんのチームも離れた場所に住んでいますが、親睦を深めようと福井で合宿を実施。福井在住の広瀬さんに案内してもらいながら、ワークショップでは訪れることができなかった場所をめぐりました。

▲左から山下さん、廣瀬さん、瓦井さん

 

「例えば都市部のイオンなどには全国チェーンのお店がひしめいていますが、福井の大型ショッピングセンターには福井にしかないオリジナルの店舗が多い。XSCHOOLに参加するまで福井のことは知りませんでしたが、個性的なまちだなと思いました」と瓦井さんと山下さん。

普段住んでいる広瀬さんにとってはこれまで当たり前だと思っていた風景でも、県外出身の2人が分析することで、新鮮な発見があったと言います。

「プランがまとまらず、今すごく焦っています。でもこのやばい状況を楽しめるようになってきました」と話す3人。今後が楽しみです。

 

 

「ずっとモヤモヤしていたんですが、ようやく少しずつ先が見え始めました」と話すのは、ゲストハウススタッフの土田佳奈さん、会社員の津田康平さん、コピーライターの古澤敦貴さんのチーム。

▲左から津田さん、土田さん、古澤さん

 

3人それぞれのバックグランドがまったく異なることもあり、最初のころは誰がチームをリードしていくのか探り合いだったそう。

「進め方について3人で衝突したこともありましたが、少しずつそれぞれの役割がわかってきたような気がします」と土田さん。

ムードメーカーの土田さんとじっくり想いをあたためていく津田さん、そして古澤さんは「もともとリードするタイプではなかった」とは言うものの、コピーライターの職能を生かして3人の想いを言語化し、チームを引っ張っています。

 

 

講師たちも驚くほどの頻度でチーム内でのコミュニケーションを進めているのが、会社員の今飯田佳代子さん、デザイナーの安井利彰さん、地域おこし協力隊の横山絵里さんのチーム。時間があれば連絡を取り合い、着実にチームの雰囲気をつくりあげてきました。

▲左から今飯田さん、横山さん、安井さん

 

XSCHOOLに参加したことで、以前より躊躇せずに質問したりお願いしたりすることができるようになった気がします。あとは少しでも時間をつくるために早食いになったし、歩きスマホも得意になってしまいました(笑)」と笑う今飯田さん。

「毎日連絡を取り合うことで、お互いのことを深く知ることができて、いつも元気づけられています」と安井さんも言います。

「これまで比較的スムーズに自分たちのやりたいことを見つけることができましたが、かたちにしようとすると次の課題がどんどん出てきて複雑になってきています」と横山さんはプロジェクトの産みの苦しみを体感中。

 

チームによってコミュニケーションの方法はさまざまですが、メンバー同士がお互いにしっかり向き合いながら、前に進んでいるようです。

 

パートナー企業のマル秘プロジェクトも進行中!?

今年のXSCHOOLで気になる動きをもう一つご紹介しましょう。

 

休憩時間中、何やらパートナー企業のみなさんが集まっています。

なんと、受講生たちの頑張りに触発され、荒井株式会社の「シルク」と株式会社米五の「味噌」を掛け合わせた新たなプロダクトを生み出そうとしているようです。

こちらは現在試作を進めている最中とのこと。もしかすると、パートナー企業同士のコラボレーション商品が誕生するかもしれません。こちらもお楽しみに!

 

アイデアを事業化するために

2017 年12910日に行われた第四回ワークショップでは、GOB Incubation Partners株式会社の山口高弘さんを事業化アドバイザーとしてお迎えし、アイデアを事業化するための手法や考え方についてレクチャーしていただきました。

▲タイでムエタイ選手としてデビューし、国内ではボクシングで活躍した異色の経歴を持つ山口さん

 

山口さんは22歳までに2度の起業と事業売却を経験。2014年に現在の会社であるGOB Incubation Partners株式会社を設立し、学生や個人の事業創出をサポートしています。

 

また、このワークショップでは一期生の黒川照太さんも登場! 昨年度のXSCHOOLで黒川さんらが考案したプロジェクト「FOODIST INFORMATION」を例に、アントレプレナー(事業を生み出す人)はどのような考え方をするのかを紐解いていきました。

▲黒川さんたちが手がけた「FOODIST INFORMATION」は、パートナー企業の「番匠本店」とともに、食品成分が英訳表示されているインバウンド向け駅弁を共同開発しました

 

事業を生み出すには「世の中の流れを読み、誰の願望を叶えたいのか」を考えることが大切だという山口さん。実在する具体的な人物にまで対象者をイメージすることで、ユーザーの本音を発見することができると言います。

また、事業化するときに悩みの種になるのが「どうやって利益を生み出すのか」ということ。事業によってどんな資産が生まれるかを考え、それを欲しがる法人・業界を探し出すことが新たなキャッシュポイント(利益源)につながることも学びました。

▲ビジネスモデルを可視化するフォーマットで情報を整理

 

▲この日のお昼はみんなで「FOODIST INFORMATION」と番匠本店による駅弁、「越前朝倉物語」をいただきました。

 

レクチャー以外の時間には山口さんもチーム別面談に参加。各チームのアイデアに対してこれまでの事例などを混じえ、的確なアドバイスをいただきました。

すでにあるさまざまな商品やサービスのビジネスモデルを知り、自分たちが生み出そうとしている価値を具体的にすることで、今まで以上に事業を生み出すイメージを膨らますことができたのではないでしょうか。

山口さん、黒川さん、ありがとうございました。

次回は福井での最終ワークショップの模様をお届けします!

(text:石原藍  photo:片岡杏子、高橋要)

 

福井発表会も目前! 7チームが歩んできたこれまでの軌跡をぜひ現地でご覧ください!

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XSCHOOL発表会/福井 -福井からはじまる、小さなデザインの教室より-』開催概要


⽇時:2018年2⽉3⽇(土) 13:30〜18:00(予定)

会場:ハピリンホール
(福井県福井市中央1丁目2-1(JR福井駅西口[ハピリン]内))
http://nigiwai.ftmo.co.jp/

参加費:無料(*⼊退場⾃由)

登壇者:XSCHOOL 受講⽣21名
XSCHOOL 講師 原⽥祐⾺、⾼橋孝治、萩原俊⽮

ゲスト:中邑賢龍(東京大学先端科学技術研究センター人間支援工学分野教授)、山出淳也(NPO法人BEPPU PROJECT代表理事)

 

司会:XSCHOOLプログラムディレクター 内田友紀、多田智美

イベント詳細:https://www.facebook.com/events/176094376315544/

お申込み: https://goo.gl/forms/z24gkIsFG0b9i7r22

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