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XSCHOOLがはじまる前のこと:株式会社にしばた編

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2016年の夏、私たちはこれから始まる「XSCHOOL」に向けて、福井市内のとある3つの企業を訪れていました。業界も扱う商材もまったく異なりますが、それぞれ“革新を続ける伝統的なものづくり”を実践しています。「XSCHOOL」のプロローグとして、まずは3つの企業を訪れた時の様子をご紹介します。

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カレンダーで業界トップシェアを誇る「にしばた」

最初に訪れたのは、「株式会社にしばた」。創業140年を超えるカレンダーの老舗です。

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にしばたはカレンダーの企画・開発から製造、販売、物流まで一括して手がけており、業界内でもトップシェアを誇る企業として成長を続けています。

その歴史は江戸時代にまでさかのぼり、福井藩主だった松平家から伊勢暦の出版を託されたことが創業の起源でした。当時の暦は日付と共に吉兆を示すものとして藩が管理をしていたそうです。明治時代から大正時代になると、暦は広告媒体としても使用されるようになりました。

にしばたが製造するカレンダーの数は年間2000万部以上。ほとんどが法人からの注文で、お客様に配る用途のカレンダー制作が中心です。

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社名入りのカレンダーを配る文化はアジアだけなのだとか。

工場を見学させていただくと金具付機や裁断機、丁合機など、その機械の数に驚きます。先代の時代に設備投資に力を入れたため、タイトな納期で膨大な注文数にも対応できるようになりました。

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印刷に使われるインクは黒や赤だけで何十種類もあり、お客様によって使う色は決められています。お客様の数はなんと5万社。それぞれの会社の専用インクを把握するだけでも大変そうです。

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どの会社のインクかわかるように、インク缶にはお客様の社名を貼り付けています。

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もう一つの工場に移動すると、今度はカシャンカシャンと軽快な音が聞こえてきました。ここは企業の社名を刷るオフセット印刷部門です。

すべてのページに社名を入れるため、なんと一枚一枚手作業でカレンダーをセットしていきます。その動きのリズミカルなこと。一切無駄がなく、思わず見入ってしまいます。

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10〜11月が1年で最も忙しい時期。年末のカレンダー配布に間に合うよう、ピーク時では夜通し印刷機が稼働することもあるのだそう。

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カレンダーの概念を変えたい

にしばたは、これまで“納期を守ることが一番の品質”として事業を拡大してきました。

部数・種類ともに膨大な数のカレンダーを取り扱っていますが、作る商品はあくまでもお客様の注文によるもの。そのため、なかなか型破りな商品を作ることができないそうです。

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「カレンダーは家庭の中心にあるものとして、一枚にそれぞれの予定を書き込み、家族みんなの暮らしを可視化するものでした。時代と共に形は変わりつつありますが、まだまだ可能性は秘めていると思います」

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香りが出るカレンダーやAR技術を駆使したカレンダー、福井ならではのカレンダーなど、社長である西端順一さんの頭の中には、常にさまざまなアイデアがあるそうです。

カレンダーの概念を変えるような何かが生み出されるのか。
西端社長はXSCHOOLに大きな期待を寄せていました。

 

(text/石原藍 photo/片岡杏子)


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