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XSCHOOLがはじまる前のこと:株式会社番匠本店編

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016年の夏、私たちはこれから始まる「XSCHOOL」に向けて、福井市内のとある3つの企業を訪れていました。業界も扱う商材もまったく異なりますが、それぞれ“革新を続ける伝統的なものづくり”を実践しています。「XSCHOOL」のプロローグとして、まずは3つの企業を訪れた時の様子をご紹介します。

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「かにめし」といえばおなじみのあの会社

次に訪れたのは「株式会社番匠本店」。有名な「越前かにめし」をはじめ、鉄道で旅する人たちにとって欠かせない駅弁を手掛けています。

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「番匠」という名前はもともと建築工を指すもの。祖先は伊勢の宮大工でしたが、その仕事ぶりを買われ、福井城内の食事を担当する台所頭に抜擢されたのがはじまりでした。

1896年には福井駅が開業。その6年後である1902年に駅構内での営業が許され、以来114年にわたり番匠本店は鉄道の歴史と共に歩んでいます。

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▲北陸新幹線最上級車両「グランクラス」で提供されるお弁当に採用されたことも。(期間限定商品のため、現在は販売していません)

番匠本店が提供する駅弁や幕内弁当は常時50種類以上。

その中でも主力商品である「越前かにめし」は1961年に登場してから今に至るまで、番匠本店の人気商品として多くの旅行客に愛されています。

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今でこそプラスチック製の容器ですが、40年ほど前は陶器に入ったかにめしが売られていたそうです。

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左が陶器のかにめし。なんとも味があってかわいらしいです。

カニを使ったお弁当は酢飯を使うものが多いですが、この越前かにめしはカニそのものの味を楽しんでもらえるよう、炊き込みご飯に仕上げているのが特徴です。また、蒸気で殺菌することにより安全面も充実し、傷みやすい食材でも1年中販売が可能となりました。

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保存料や添加物は極力使わず、地元でとれる食材にこだわっている番匠本店。多いときには1日18,000食のお弁当が出るそうですが、なんと、すべての惣菜を手作りでつくっています。

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昼間は食材を仕込み、夜間は盛り付け。野菜のカットや箱に詰めるのも機械を使わず、すべてスタッフの手で行っています。

想い出産業から広がる可能性

創業以来、番匠本店が大切にしていることは、「ただ美味しいだけではなく、お客様の思い出に残るお弁当を届ける」ということ。

あの時の旅はこうだったね、こんなお弁当を食べたね、と会話し、いつまでも記憶に残り続けてほしい。「駅弁はまさに『想い出産業』なのですよ」と、社長の山田和徳さんは言います。

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駅弁を扱う会社は、70年前は日本全国で420社あったと言われていますが、現在では98社と1/4程度になりました。

番匠本店は今でも毎年必ず1~2種類ほど新商品を生み出していますが、駅弁以外でも福井の豊かな食文化を残そうと、医療施設や幼稚園の給食サービス、在宅ケアの方への宅配サービスなど、事業の幅を少しずつ広げています。

食材を保存する冷凍技術や徹底した品質管理体制など、これまで培ってきた駅弁のノウハウを活かし、XSCHOOLでどんなコラボレーションを生み出すことができるのか、今からとても楽しみです。

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(text/石原藍 photo/片岡杏子)


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