- PROJECT
- XSCHOOL2019
発表目前! 最後まで走り続ける【ワークショップ最終回・後編】
プロジェクトの発表が目前に迫った最終回となるワークショップ。各チームのメンタリングを進めながら、2日目にはディレクターの多田智美さんによる企画書講座も開かれました。まずは前編に引き続き、チーム紹介からお届けします。
プレゼンテーションに臨むXSCHOOL4期生チームを紹介!
チーム4
▲左から黒田さん、笠松さん、水口さん、島田さん。全員が福井出身、東京在住のメンバー。郷土愛が強いチームです
チーム4はメンバーの黒田さんの個人的な動機からプロジェクが立ち上がりました。黒田さんの想いとは実家の作業小屋を改装して地域に開かれたスペースをつくること。家族の介護問題に直面する中、「いろんなハードルを取り払い、気軽に集まれるような地域コミュニティカフェをつくりたいと思うようになった」そうです。キーワードになるのは“ものづくり”との接点。訪れる人がつくる時間を共有することで、共生できる地域社会を目指します。
「この取り組みで尊重し合いながら地域の人と共生できる社会が実現できると嬉しい。プレゼンでは個人的な動機から、聴く人が共感できるビジョンをどう伝えるかが本番までの課題です」と話す黒田さん。想いに共感するメンバーとともにブラッシュアップを進めています。
チーム5
▲左から鈴木さん、南さん、見目さん、田中さん、中神さん
チーム5は、“捨てにくいものを手放す時の選択肢を作る”をコンセプトにしました。きっかけはパートナー企業の増田喜さんの古紙回収の現場リサーチ。リサイクルされゆく書籍の価値に気づき、資源循環サイクルのなかで“手放す気持ち”によりそったプラットフォームがあってもいいのではと考えました。「“残す”と“捨てる”の間に選択肢を設けて、新しい手放しのかたちがある未来を考えていきたいです」と中神さん。
▲元DJという異色の経歴をもつ増田喜社員メンバーの見目さん(写真右)
「考えた仕組みがまずは県内で利用してもらえるようにこのプロジェクトの魅力が伝わるようなストーリーも考えたい」と話す見目さん。プレゼンテーション当日は一体、どんなストーリーが語られるのでしょうか。まだまだやることが山積みと笑う5人のラストスパートに期待です!
メンターチーム
▲左から高野さん、田中さん、加藤さん、吉鶴さん、高橋さん
過去のXSCHOOL参加者や運営メンバーから構成されたメンターチームは、福井市越廼地区を中心にフィールドワークを続けてきました。越廼地区はmake.fプロジェクトの「日本海トライアルステイ」の舞台であり、地域おこし協力隊が縁で福井に移住したメンバーの高橋さんが暮らす馴染み深いエリア。そこでみつけた福井の文化的景観である水仙畑と担い手農家さんとの偶然の出会いがプロジェクトの方向性を固めていきました。
チームが提案したのは、各地の文化的景観や地域資源が担い手不足によって存続が危ぶまれている状況をふまえ、そこに持続的な営みをつくるために自分たちができるプロジェクト。
「未来の土着を考える上で、いろんなモノやコトが誰かの、何かにとって意味のある糧としてつながっていく営みが大事」と高橋さんは力を込めます。
ディレクター・アドバイザーとのメンタリングでは、プロジェクトの意義や活動の重要性を、もっとストーリーを持たせて伝えてほしい、とアドバイスがあり、自分たちが本当に伝えたい想いやストーリーを整理し、再度プレゼンの中身も確認することにしたメンターチーム。
XSCHOOLの先輩として各チームを引っ張る存在から、自分たちのプロジェクトに向け歩みを加速させたメンターチームの表情にご注目ください!
ワクワクする企画を作るために必要なことは
ワークショップの二日目には、ディレクターで編集者の多田智美さんによる「企画書講座」が開催されました。
企画書やプレゼンテーションのスライドは、どのような考え方でまとめていけば良いのでしょうか? そこには編集的な思考が大きな役割を果たします。
▲編集を、“夜空の星を結んで星座を名付ける行為”と例えた多田さん
編集の役割とは、個人や社会の背景、言語化されていない目に見えない価値をより深くつなげること、と多田さんは言います。根っこの部分にあるメッセージと背景や環境などから物語を紡ぐことで、伝えたい想いに奥行きを与えることができます。
魅力的な企画書とは「読み始めたら一気に読ませてしまうもの」、そして「その企みが頭に思い浮かんでワクワクするようなもの」。
「届ける相手は誰か」「何を伝えたいのか」「どういう立場で語りかけるのか」「どんな状況が起きたらいいのか」など伝え方の指針となる編集方法を学びました。
発表に向け、チームの企画書づくりとプレゼンテーションを後押ししようと開かれた多田さんの臨時レクチャー。多田さんが関わった門外不出の企画書事例も披露され、メンバーは大きな刺激を受けた様子でした。
全4回のワークショップを終えて
チームの動向に伴走を続けてきたアドバイザー・ディレクターからは、この2日間も多くのレビューや発表に向けたエールが発せられました。その一部を紹介します。
「僕が皆さんに伝えたいのは、どれだけ自分の技術が足らなくても、どれだけ時間が無くても、自分が作ったものには最後まで責任を持ってほしいということです。皆さんが活発に議論を戦わせているのを間近で見て、僕もすごく刺激を受けました。だから最後まで諦めないで、やり切ってほしいと思います」(アドバイザー・川崎和也さん)
「チャレンジしなかったら何も変わらないままです。世界記録も挑戦するから生まれる。ようやく今日、本音でぶつかっているチームもあったので、ここからの巻き返しに期待しています。これからプロジェクトをブラッシュアップしていく中で、自分たちで解決できない問題にぶつかったら、まず仲間を探してください。それが発表会までの重要な仕事の一つになりますよ」(プログラムディレクター・原田祐馬さん)
「これから発表会までの一日一日がすごく大事になってくると思います。僕も昨年のXSTUDIOにローカルリーダーとして参加していた時は、発表会前日にプレゼン資料をゼロから作り直しましたし、当日他のチームが発表している最中に修正もしていました。悩みの中で、苦しんでいる今だからこそ、本当の全力が出せるんじゃないかと僕は期待しています」(坂田守史さん)
XSCHOOLのスタートしてから、ここまでの約120日間。はじめて出会ったメンバーがチームを組み、時間や距離などいろんな壁を乗り越えながら、一つのプロジェクトを作り上げてきました。何かを生み出す難しさに最後まで苦戦しながらも「未来に残るものを作りたい」、その一心で進んできたメンバーたち。その想いを2月のプレゼンテーションにぶつけて、プロジェクトのスタートへ一歩を踏み出します。ぜひ会場でお聴きください!
text:Syota Ban(fuプロダクション) photo:Kyoko Kataoka
発表会情報はこちら
東京2月2日(日)、福井2月8日(土)、 プレゼンテーション開催決定!