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XSCHOOL2019

XSCHOOL 2019がスタート!【第1回ワークショップ】

福井を舞台に新しいプロジェクトをつくり上げるXSCHOOLが、今年も始まりました。今年度はスタジオ形式の「XSTUDIO」からプログラムを再編。地元パートナー企業と、全国から集まった異なる専門性やスキルを持つメンバーによる混成チームが、「未来の土着」をテーマに新たなプロジェクトを模索していきます。

さらに今年はディレクター、アドバイザーに加え、過去XSCHOOLに参加した7名のメンバーも参加。メンターとして伴走しつつ、ともに自らのプロジェクト創出に挑んでいきます。

ワークショップがスタート!

102627日に行われた第1回ワークショップは、参加者全員が福井に集結。それぞれが少し緊張した面持ちのなか、プログラムがスタートしました。

▲この日、はじめて顔を合わせる参加者たち

 

まずは全参加者による自己紹介。

「“未来の土着”というテーマが気になった」「発想の生み出し方を学びたい」「地元を盛り上げるようなことに取り組んで、みなさんと楽しみたい」など、プログラムに参加した動機や意気込みが語られました。


また、今回のワークショップでは「あなたが考える“福井の土着”を持参すること」が、事前課題として出されていました。会場では、参加者たちが福井の土着について考察したレポートを披露。ものづくりやまちの景観、食文化など、バラエティ豊かな内容が揃いました。

▲参加者のなかには、「へしこ」(福井の伝統的な保存食で鯖を糠漬けしたもの)を持ちこんだ人も

未来の土着はSFがヒント!?

続いて、イントロダクションとして、アドバイザーの川崎和也さんによるレクチャーが始まりました。テーマは「未来の土着/土着の未来」。国内外から集めた事例をもとに、今回のテーマである「未来の土着」について考えるヒントを伝えていきます。

 

今回のテーマにはある種、相反するところがあるとし、川崎さんは「土着というと過去について考えがちだが、未来について考えることも大切」とアドバイス。


では、未来の土着を考える上でどんな視点が必要なのでしょうか?


川崎さんはキーワードに「エスノグラフィ(文化人類学的な視点)」「アントロポセン(地学)」「未来のありきたり」を挙げました。

 

また、「未来に問いを投げかけるという視点では、SF(サイエンス・フィクション)もヒントになる」と語る川崎さん。

あるSF映画を例に、「設定や盛り上げるポイントが綿密に設計されていて、どれだけ我々に現実感を持たせるかという点も計算されている」と解説。

SFと言えども、衣食住は設定した時代背景にしっかり根づいた形になっている。衣食住から未来を考えると、いろんな発想が出てくるかもしれませんね」と締めくくりました。

これからプロジェクトを考えていくための大切なヒントに、参加者たちは熱心に耳を傾けていました。

難易度の高いドローイングに悪戦苦闘!?

インプットの次は、頭と手を使ったワークショップに挑戦!

 

ディレクターの原田祐馬さんからは、投影された惑星のような模様を「0.5mmのシャーペン芯でドローイングする」というお題が出されました。ルールはただ一つ、絶対に芯を折らないこと。参加者たちは、芯を恐る恐る走らせていきます。

▲こするように大胆に描く人、陰影をつけてる人、芯を使わず指で書いていく芸術家肌の人など、描き方もさまざま

住んでみたい惑星、住みたくない惑星などの観点で特徴的な表現をした方をディレクター陣がピックアップ。同じ構図でも異なる着眼点を掘り下げました

 

「シャーペンの芯一つでも、使い方次第で創造的なことができるし、トレースするだけでも書き方の特性が出る」と原田さん。メンバーの特性を合わせながら、プロジェクトをつくり上げていってほしいという期待が込められていました。

パートナー企業のリサーチがスタート

第1回ワークショップでは、3社のパートナー企業を訪問して、福井の産業からプロジェクトのタネを探しました。

まず1社目に訪れたのは「株式会社米澤物産」。

創業以来、現在まで一貫して細幅多重織物に特化した事業展開を行い、製品の7割がカーテン・ブラインドなどのインテリア資材が占める同社。アパレルや産業資材の分野における製品も増加傾向にあるそうです。近年では先進のエレクトロニクス産業のほか医療分野など、新分野の開発も意欲的に進めています。

▲工場見学後は実際に次世代型繊維に触れ、その性能を確かめました

▲米澤物産は世界の企業と組み、最先端分野で繊維と他素材との融合を進めています

 

参加者たちは、ロボット工学で使用される伸縮自在の繊維や生地に触れるだけでスマートフォンを操作できるジャケットなど、“繊維産業の最先端”を目の当たりにして、とても刺激を受けた様子でした。

 

2日目は会場を日華化学・NICCAイノベーションセンターに移し、フィールドワークを再開しました。

 

1941年設立の日華化学は界面化学・高分子化学・毛髪化学をコア技術に、繊維やプラスチック、頭髪化粧品まで、多角的な事業展開を行っています。

同社が得意とする界面活性技術は、モノとモノとの間で作用し、その相性を変える技術。実際にその技術が使われた製品を手に取りながら、開発から製品になるまでのプロセスを企業メンバーが説明し、一つのプロジェクトが完成するまでの流れを肌で感じました。

 

▲開発のプロセスに聞き入る参加者たち

̻▲化学製品の性能を実際に触れて確かめられる展示コーナー

 

企業フィールドワークの最後に訪れたのは、再生資源の回収・卸売りを行う「株式会社増田喜」です。

1946年創業の同社は、回収した古紙を製紙工場へ送り届ける「紙のリサイクル」を主力事業とし、大型プレス機や移動型シュレッダー等の設備を県内で初導入するなど、福井県のリサイクル業を牽引してきました。

▲県内各地から運ばれた古紙は大型プレス機でひとかたまりに


近年ではスーパーなどに、古紙・ペットボトル・アルミ缶を直接持ち込める「リサイクルステーション」の設置も進めており、持ち込んだ量によって設置店の買い物ポイントが発行される仕組みもつくっています。

̻▲空き缶も隙間なくプレスされています

 

 

参加者たちは、はじめて見る古紙リサイクルの現場に圧倒されつつも、普段の生活とリサイクルの関係性について考えを深めていました。

プロジェクト創出に向けたテーマを抽出

パートナー企業のリサーチを終えた参加者たち。

これからは事前に振り分けられたチームに分かれ、各企業をめぐって得た気づきや疑問を共有し、アイデアの可能性を探っていきます。

それぞれの感想を書き出し、関心事をチームで引き出し合いながら、プロジェクト創出に向けた「テーマフィールド」を決定していきます。

 

 

今回のワークショップで集めたテーマをもとに、今後はプロジェクトの着想へと進みます。次回までに各チームはフィールドワークやインタビューなどのリサーチを実施し、アイデアの体感値を高めていくことになりました。

いよいよ始動した本年度のXSCHOOL。未来に根づくプロジェクトをつくるためにも、圧倒的な熱量でのアップデートが求められていきます。「現在から未来に向けて、どう介入するのか」という難題に、これから各チームはどのように挑んでいくのでしょうか。次回のワークショップに続きます。

 

text:Syota Ban(fuプロダクション) photo:Kyoko Kataoka、Yoshiaki Takahashi


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