- PROJECT
- make.f LAB
XSCHOOL始動!盛りだくさんの第一回ワークショップ 〜2日目編〜
「XSCHOOL」第一回ワークショップの2日目。パートナー企業のリサーチを終えて、これから4ヶ月間をともにするチーム分けが発表されました!職業も境遇も違う参加者たちがお互いの気づきを共有しながら、一体この場所で何を生み出していくのでしょうか?
おはようございます、XSCHOOL2日目です!
初日は遅くまで福井の夜を堪能した参加者と講師たち。
みなさん、少し眠そうにも見えますが(笑)…、2日目も元気に参りましょう!
江戸時代から続くカレンダーの老舗へ
この日は引き続きパートナー企業のリサーチへ。
最初に向かったのはカレンダーの国内シェアナンバー1の「株式会社にしばた」です。
入口では社長の西端さんや工場長の嶋崎さんたちがお出迎え。カレンダー製造のピークの時期にもかかわらず、工場を案内していただけるとのこと。ありがとうございます!
早速、工場の見学に向かいます!
にしばたでつくっているカレンダーは社名が印字された法人向けのものがメイン。
企画開発から製造、発送まで一貫して行っており、3つの工場に分かれて印刷や裁断、製本などを行っています。
工場内には最新の機械がずらり。先代の頃に設備投資に力を入れていたため、多ロットの製造が可能になりました。しかし、カレンダー1枚1枚に社名を印字する作業や、枚数を数える作業は人の手で行うなど、アナログな部分も大切にしています。
▲社名を印字する機械、通称「チャリンコ」は1枚1枚手差しで印字するもの。「昔からある機械ですが、これが一番早くて正確」なのだそうです
▲何十キロもあるカレンダーを軽々と持ち上げ、機械にセット。空気を送って束をきれいに整えてから断裁機にかけていきます。動きに一切の無駄がありません
カレンダー製造のスケジュールは少し特殊で、毎年12月にはすでに再来年の企画・印刷が終わっているそうです。
倉庫に山積みになった商品もほとんどが再来年のもの。注文が入るその時まで出番を待ちます。
▲にしばたが製造するカレンダーは年間2000万部以上。北は北海道から南は沖縄まで注文を受けています
工場見学の後は、西端社長から会社の特徴や課題などを話していただきました。
「当社は松平藩の頃から暦に携わっており、これまでさまざまな種類のカレンダーをつくってきました。営業力には大きな自信を持っているため、ありがたいことに全国各地で当社のカレンダーを使っていただいています」
にしばたの強みは営業力に加え、“確実に納期に間に合う”製造体制だと語る西端社長。
しかし、法人向けのカレンダーは奇抜なデザインが好まれないため、毎年同じようなデザインになってしまうことや、企画力そのものに課題を感じているそうです。カレンダーの枠を越えた何かを生み出したい!社長の言葉からは、現状から新たな一歩を踏み出したいという思いが伝わってきました。
▲壁にはこれまで手がけたカレンダーが一面に。そのラインナップの多さに歴史の積み重ねを感じます
創業当時に作られていたカレンダー(暦)は365日印刷されたものではなく、職業別に必要な日付が表されたものでした。昭和に入ってからカレンダーは今のスタイルになったそうです。
▲創業者 西端はるさんの時代につくられたというあわら温泉旅館のカレンダーも見せていただきました
質疑応答が終わった後も、出発時間ギリギリまで情報を得ようと熱心な参加者たち。何かヒントを得ることができたのでしょうか?
駅弁製造現場の秘密に迫る!
次に向かったのは「株式会社番匠本店」。代表的な商品「越前かにめし」をはじめ、50種類以上の駅弁を手がけています。
時刻はちょうどお昼時。
到着すると、番匠本店で製造している駅弁の数々が並んでいました。腹が減っては戦ができぬ!ということで、まずはしっかり腹ごしらえをします。(番匠本店のみなさま、ありがとうございました!)
▲お弁当を手に取り「これ、駅で見たことある!」と盛り上がる参加者たち
かにめしや幕内弁当、鯖寿司など、いろんな種類の駅弁をみんなでシェアしながら、パッケージのデザインやお弁当箱の形もしっかりチェックしていきます。
駅弁を堪能した後は、製造工程を見せていただくことに。
帽子やマスク、白衣と全身真っ白な姿に着替え、すっかり工場見学モードです。
▲着替えた後も細かなホコリや髪の毛などを徹底的に取り除きます
▲普段めったに入ることのできない場所を見学できるとあって、みんなテンションが上がっています
▲工場に入る前にはしっかり手洗い。指先や手首もしっかり洗い、爪の間もブラシでしっかり磨きます
駅弁づくりで大切にしているのは「安心安全」だという番匠本店。
工場内は品質管理・衛生管理が徹底しており、全国で販売可能な量を製造できる設備が整っています。
▲大きなタンクの中にはなんとお米が!まるで巨大な米びつです
▲「かにめし」をこの中に入れて蒸気で殺菌することで、かにが傷みにくくなるそうです
少しでも出来たての美味しい状態で提供したいという想いから、詰める当日に一品ずつお惣菜を手作りするというのも番匠本店のこだわりです。
▲工場は昼夜2交替制。お惣菜は昼の間に作り、夜詰めます
▲卵焼きも特殊な型を使いながら丁寧に焼いていきます
工場を見学した後は、社長の山田さんから駅弁の変遷や現状について話していただきました。
「駅弁は歴史が古く、明治18年におにぎりを駅で売ったのが駅弁のはじまりだといわれています。先代は明治34年生まれ。当社は戦前戦後、高度経済成長時代など時代背景と共に浮き沈みを繰り返しながら今に至ります」
▲番匠本店で作られていた昔の駅弁
▲駅弁の掛け紙も時代とともに移り変わってきました
昭和50年代後半で約400社あったと言われていた駅弁の会社も今では98社に。数は少なくなっているものの、各社独自のコンセプトを持ち、知恵と工夫を凝らしていると山田社長は言います。
「おかげさまで当社の駅弁は全国の駅弁フェアでも好評をいただいておりますが、福井駅ひとつとっても、コンビニやスーパーなどがあり、お客様の選択肢は増えています。若い人や海外からの旅行者にも手にとっていただけるようなおしゃれなパッケージや手軽な食べ方などを考えていきたいですし、福井独自の食文化も伝えていきたいですね」
参加者たちからもパッケージのデザインや商品開発、販売形態についてなど、さまざまな質問が飛び出していました。
いよいよチーム分けの発表!
パートナー企業のリサーチも終わり、この日の宿泊先である中小企業産業大学校へ。
3つの企業を回り、参加者のみなさんは何を感じ、どんなところに可能性を見出したのでしょうか?
まずはこれから一緒に新たな何かを生み出すチームの発表です。
▲よろしくお願いしまーす!
2日間のパートナー企業のリサーチをふまえて、それぞれの視点で感じたことをチーム内で共有します。
職業も境遇もさまざまな参加者たち。着目するポイントが違うので新たな気づきがあります。
チーム内で共有した意見をもとに、気づいた点を各チーム発表してもらいました。
手がける商品はもちろん、会社の規模や組織体制など、3社3様に異なるパートナー企業。
商品の強みや課題だけでなく、その根底にある歴史や想い、そこで働く人たちが何を考えているのか。また、それを使う人がどのように感じているのかなど、あらゆる部分まで考えをめぐらせ仮説を立てていきます。
「同じものづくりがずっと続けられる仕組み」や「時代の変化による商品の新たな価値」「福井が日本のへそに位置していることの強み」など、各チームとも独自の視点で3社を分析していました。
みんなの発表を受け、講師からも3社を回った感想やこれからのヒントになりそうな考え方が伝えられました。
▲「単なる分析ではなく、参加者たち自身が“自分ごと”として考えることで新しい視点が生まれるはず」と原田祐馬さん
▲「これまでの積み重ねた歴史があるのに目の前の課題にとらわれている、そんな3社の現状に風穴を開けたいよね」と高橋孝治さん
▲萩原俊矢さんからは「人生は一人称で考えるべき。それが会社や働く人たちの幸福につながる」と名言が飛び出しました
福井の新スポットで懇親会
この日も朝からインプットに余念がなかった参加者たち。
夜は福井市の浜町エリアにできた新スポット、「CRAFT BRIDGE」で懇親会です。
▲初日にレクチャーをしてくださった、福井新聞の高島さんの掛け声で「乾杯!」
▲番匠本店の山田社長、廣部硬器の廣部すぐ里さんもかけつけてくださいました
▲昨日初めて出会ったとは思えないほど打ち解けた雰囲気に。会話も弾み、お酒が進みます
ともに悩みともに考えるチームのメンバーも決まり、これから約4ヶ月間かけて具体的なアイデアの実現に向けて少しずつ動き出していきます。2日目もおつかれさまでした! —3日目編に続きます。
(text/石原藍 photo/片岡杏子)