福井大学のすぐそばにある「テリフリ」は、オーナー二木さんの人柄とセレクトする商品のセンスの良さが人気の雑貨店。営業、デザイナーを経て二木さんが暮らしの道具を扱うようになったきっかけやこだわりをうかがいました。
今の仕事とこれまでの経歴を教えてください。
福井市で暮らしの道具を扱う「テリフリ」というお店を営んでいます。お店を始めたのは2013年のことで、それ以前は別の仕事をしていました。最初は福井の銘菓「五月ケ瀬」の会社の営業をしていたんですが、パッケージのデザインに興味を持ち、そこから印刷会社に転職してグラフィックデザインに携わるようになったんです。まったくの未経験でしたが、チラシや名刺、ロゴデザインなどいろんなデザインをさせてもらっていましたね。
今の仕事をはじめることになったきっかけは何ですか?
特に何かきっかけがあるわけではないんですが、印刷会社に勤めて10年経ち、そろそろ新しいステップに進もうかなと思ったんです。ちょうど自宅に空いてるスペースがあり、そこでフリーのデザイナーか貸しギャラリーをしようかなと思って。昔から旅行が好きで、行く先々で雑貨屋さんやギャラリーを観て歩くのが好きだったこともあり、それならお店を始めてしまおうと思ったわけです(笑)。当時、すでに結婚をしていましたが、奥さんも「やりたいなら応援するよ」と背中を押してくれました。
テリフリではどんな道具を扱っているんですか?
作り手の手仕事が感じられる暮らしの道具です。日々の暮らしが気持ち良くなったり、使うことによって料理のモチベーションが上がったり、何よりも私が好きな道具というのが大きなポイントですね(笑)。世の中にはいくらでも便利なものはあるので、お手入れは面倒な部分があるかもしれません。例えばおひつを使った後は余分な水分をふき取ってしっかり乾かす、鉄のフライパンなら油を塗ってなじませるなどね。でも、それによって愛着がわくし自分に馴染んでいくと思うんです。
仕事の楽しい部分、大変な部分を教えてください。
楽しい部分はやはり好きなものに囲まれてるところですね。この仕事を始めたことによって作り手の人との距離がさらに縮まったと思います。大変な部分は……うーん、なんだろう。実はあまり思い浮かばなくて。もちろん、今から考えるといろんな出来事はありましたが、大変だと思う暇もないくらい無我夢中でやっていたような気がします。一つあるとすれば、サラリーマン時代と生活サイクルが違うので、休日に子供と遊べないのはちょっと辛いですね。
福井で働く魅力はどんなところにありますか?
未開拓な部分が多いというところでしょうか。都会みたいにお店が飽和状態だったら私もお店を始めることはなく、ずっとお客さんの立場でい続けたかもしれません。今はどんな商品でもたいていインターネットで買えるじゃないですか。でも自分が本当にいいと思うものは直接紹介したいし、手にとってもらいたい。まだまだ広められる可能性や自分の目が届くコンパクトさが福井で働く魅力だと思いますね。
これからの目標は何ですか?
さっきは未開拓と言いましたが、福井でも新しいお店は増えつつあります。でも他と同じことはやりたくないなぁ。どうせやるならテリフリらしいことをしたいと思っています。例えば、オープン当初から「金継ぎ教室」やってるんですが、6週間かけて器を直す長いワークショップなんです。最初は参加者同士初対面でも、教室が終わる6週間後には一体感が出来上がってすごく仲良くなってるんですよ。テリフリでは人が集い、買う・習う以外の付加価値をつけられるような場をもっと作っていきたいですね。
(text:石原藍 photo:出地瑠以)