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しごと道
福井ではたらく人たちの「はたらき方」に焦点を当て、それぞれが大事にしていること、今考えていることを語っていただきます。
今回は日華化学株式会社で働く白川さとみさんが登場します。

白川さとみさん/日華化学

日華化学
白川さとみさん

「福井の企業がすごい場所をつくった!」と大きなニュースになったのは、201711月のこと。繊維加工用界面活性剤や化粧品などの製造・販売を主事業とする日華化学株式会社が新設した「NICCA イノベーションセンター(以下、NIC)」は、建物のいたるところにイノベーションを生み出す工夫が取り入れられていると、大きな話題になりました。今回はNICの企画部門に所属する白川さとみさんにお話を伺い、NICでの働き方や自身のこれからについて語っていただきました。

 

白川さんのこれまでの経歴を教えてください

小さい頃は父の仕事の関係で福井と愛知を行ったり来たりし、小学校は4校行きました。愛知には地下鉄があり、遊びに行く場所も多いので、都会っていいなぁと感じたこともありましたね。小学校6年生からはずっと福井で、将来はツアーコンダクターになりたいと思っていたんです。日華化学は化学メーカーなので、まったく違うと思われるかもしれませんが、早くから積極的に海外展開している会社なので、もしかしたら海外と関われるチャンスがあるのかも……という理由もあり入社を決めました(笑)。

 

入社後は総務や経営企画、秘書や人材育成など、管理部門一筋。なかでも人材育成の仕事は、勉強になることが多かったですね。新人社員から管理職までいろんな社員の研修を担当し、内部講師も経験しました。それまでは私、社内でも目立たない方だったのですが、新人研修の講師を任されるようになってからは「怖い白川」と社長にまで言われるようになったりして(笑)。

その後、NICのプロジェクトに入ることになり、現在はイノベーション推進本部というところで、NIC活性化の企画立案、NICで行われたイベントや来場者に関する情報の社内外発信お客様のアテンドなどを行っています。

 

NICは設計が始まる前から社内で何度もワークショップを重ねていたと聞きました

そうなんです。NICをどんな建物にするか、設計を手がけた小堀哲夫氏(東京都文京区・小堀哲夫建築設計事務所)も加わり、社員40名程度が参加してのワークショップが計7回行われました。新しい環境で考える、これまでの概念にとらわれず自由に発想するということで、雑誌の切り抜きを使って日華化学の未来を描いたり、残したい場所・変えたい場所のプレゼンをしたり……。「ここからどんな研究施設が生まれるんだろう」とワクワクしましたね。

 

自分たちがどんな場所で働きたいか、意見を出し合う機会もありました。「1人で篭って集中できるスペースが欲しい」「固定席ではなくていろんな場所で働きたい」といった要望から「将来、社員がノーベル賞を受賞したら講演会をしたい」といった夢まで、ワークショップで出た社員の声は、建物のいろんなところに取り入れられています。1階のカフェテリアスペース(ガーデンスクエア)は一人用のカウンターからグループでくつろぐことができるソファ席まで設置し、さらに講演会ができるよう可変式のステージや音響設備が設けられているんですよ。私はカフェテリア関係の担当をしていましたが、小堀さんと食器一つから徹底的に選び抜いたことが、とても印象に残っています。

▲NIC1階のガーデンスクエアは、広々として開放感たっぷり!

 

NICが完成してどんな変化がありましたか?  またこの場所でやってみたいことなどありますか?

 NICは1階がカフェテリアや展示スペース、2階は毛髪科学研究所3階は界面科学研究所を主としたフロアなのですが、1階から3階まで1つの道でつながっているので、社員同士が顔を合わせる頻度が目に見えて増えましたね。今までなら電話で済ませていたことも直接話に行くシーンが多くなり、コミュニケーションの密度がグッと高まったと思います。

 

また、弊社に興味を持っていただくお客様の層も随分と変わりました。これまでは業界関係者とのつながりが大部分でしたが、NICができてからは建築に興味がある方や働き方に興味がある方、新たに研究所を建てようとされている方など、さまざまな分野の方が訪れるようになり、すでに国内外より6500名以上の方に足を運んでいただいています。

 

今後はより地域に開けた場になるよう、コンサートや講演会、小中高校生の職場体験なども開催したいですね。子どもたちが大きくなって「そういえば福井にこんな会社があったな」と思って改めて日華化学に関心を持っていただけたら最高だなと思っています。

 

白川さんは2人のお子さんのお母さんでもありますが、これまで仕事と家庭の両立で大変だったことはありましたか?

 日華化学の女性社員はパートさんも含め、ほぼ100%育児休暇を取得して復帰しています。私もこれまで2回育休を取りましたが、出産・育児を理由に仕事を辞めることは考えたことがなかったですね。子どもが小学校にあがる前も、仕事で家を空けることが多かったのですが、家族や両親のサポートで乗り切ることができました。福井は共働きが多いので、仕事に対する周りの理解は大きいと思いますね。また、お母さん同士で助け合うシーンも多く、私もママ友に子どもを預けたり、逆に預かったりすることもよくあります。「自分の子だけ育てる」ではなく「みんなで協力して育てる」環境が福井にはあるのかなと思っています。

 

仕事も家庭も充実しているのが伝わってきますが、休みの日は何をされていますか?またこれから挑戦したいことなどあれば教えてください

 休みの日も予定は詰め込んでますね……(笑)。旅行が好きで34ヶ月に1回は家族旅行に出かけています。ほかにもメイクアップ教室に通ったり、ママチャリレースに出場したり、資格試験を受けたり……。2018年に福井で国体が行われたときには、公式ダンスのコンテストに会社の仲間と出場し、障スポ閉会式で踊らせていただきました。興味のあることは何でも挑戦するタイプ。今年は大人のチアダンス教室にも通う予定です。

▲福井しあわせ元気国体2018の公式ダンス「はぴねすダンス」のコンテスト風景

 

また、人材育成の仕事をしていたときに資格取得した「キャリアコンサルタント」として勉強会参加したり、ボランティアで相談を受けたりすることもあります。働く環境は一人ひとり違っていて、単にキャリアアップだけが人生ではないなとつくづく感じますね。今は2人に1人は「がん」になる時代と言われていますが、今後、病気の治療や両親の介護、子育てなどと仕事を両立しながら働く人がますます増えていくと思います。企業のなかでもキャリアコンサルタントの資格を生かし、社員みなさんの働き方に寄り添えるような仕事にも挑戦してみたいですね。

 

text:石原藍 photo:片岡杏子


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