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中高生が「1日記者」に!「福井の幸せみつけよう 取材の旅」〜食文化取材編〜
午前中は松浦機械製作所、一乗谷朝倉氏遺跡を取材し、世界に誇れる福井の文化や技術を目の当たりにした中高生記者たち。午後からは福井市内で伝承料理を受け継ぐグループのワークショップに参加し、福井の「食」を紐解いていきます。
はじめに福井県内の食文化に詳しい郷土料理研究家・佐々木京美さんから、福井の「食」についてわかりやすく教えていただきました。山も川も海もある福井は“日本の縮図”と言われており、福井では大昔からその地で獲れたものを、地域ごとに伝えられた方法で美味しく調理してきたそうです。
▲郷土料理研究家・佐々木京美さん
世界一と言われているデンマークのレストラン「Noma(ノーマ)」では、「料理を通して文化・自然・歴史と地域の様子を伝えること」を目標にしているのだそう。しかし、世界一のレストランが目指していることを、福井では昔からすでに実践しており、「福井の食は世界最先端」と言えるくらいの魅力があることを教えていただきました。
福井に住んでいると、あらためて地元の「食」について考える機会は少ないかもしれません。自分たちが普段から食べている「食」の魅力に気づき、誇らしげな表情でメモを取る中高生記者たちの姿が印象的でした。
魚の達人、越廼地区のお母さんたち
今回は山と海から福井の食の秘密を探っていきます。
まず登場していただいたのは、「越廼漁協ぬかちゃんグループ」のお母さんたち。
福井市越廼地区は日本海沿岸に位置する港町で、近隣で捕れる豊かな魚介類を使い、厳しい環境で美味しく食べるための工夫を重ねてきました。
▲「魚は捨てるところがないのよ」とぬかちゃんグループの上野さん(右)
越廼地区で昔からつくられているのは「へしこ」。
「へしこ」とは魚を塩と糠で漬ける保存食のことで、福井の特産品としても有名です。鯖をはじめ、越廼地区ではイカやトビウオ、シイラなどさまざまな魚介の「へしこ」をつくっています。
たくさんの塩を使うので、塩辛い味を想像される方も多いかもしれません。しかし、1年以上漬けると、「へしこ」は驚くほどまろやかな味になるそうです。
▲いかの「へしこ」を試食。独特の食感とまろやかな塩味が楽しめました。
「ぬかちゃんグループ」では若い人にもっと「へしこ」を食べてもらおうと、試行錯誤を重ねています。なかでも、魚介ごとにもっとも合う油を研究してつくられた「へしこのオイル漬け」は、和食でも洋食でも使える万能な食材に生まれ変わりました。
▲「へしこのオイル漬け」を使ったそばパスタもいただきました。
中高生記者のなかで「へしこ」を食べたことのある人は半数程度。ぬか漬けの状態では独特の匂いに及び腰の中高生記者でしたが、おにぎりやパスタなどのへしこ料理には「おいしい!」と大満足でした。
手間暇かけた一乗谷の里山料理
今度は山から福井の「食」を探っていきましょう。
次に登場していただいたのは「一乗ふるさと料理クラブ」の皆さん。
朝倉義景が当時の将軍をもてなしたとされる献立をアレンジした「朝倉膳」をはじめ、山の恵みを活かした数々の伝承料理をつくっています。
今回はその中でも「呉汁」という大豆料理のつくり方を学びました。
「呉汁」はすりつぶした大豆を出汁にいれた郷土料理。別名、“大豆のカプチーノとも言われています。
作り方はいたってシンプル。2日間水に浸して柔らかくした大豆を1時間かけてすり鉢ですっていきます。
中高生記者たちも挑戦。意外と力がいります。これを1時間も続けるって大変!
すった大豆を出汁にいれて火にかけます。生の大豆を使っているので、しっかり熱を加えることが大切。何回か湧き上がるくらい火を通せば完成です。
出来上がった「呉汁」はふわっふわ。まさに大豆のカプチーノです。
▲一杯では足りず、何杯もおかわりする中高生記者たち。呉汁の鍋の前に列ができるほどの盛況ぶりでした。
「ミキサーだと美味しくならないのよ。手でじっくりするから美味しくなるのよ」とお母さんたち。
この手間こそがなめらかな食感を生み出すんですね。
そのほかも、一乗地区に伝わる料理をいくつか披露していただきました。
里芋の煮物にペースト状になるまですった黒ごまを和える「ごまころ」や豆腐ではなく大豆をすったものを使う「ぜんまいの白和え」など、どちらも手間がかかっています。
▲「ごまころ」(右)と「ぜんまいの白和え」(左)。ぜんまいは茹でる前に何度ももみほぐすことで程よい食感になるそうです。
▲「麩のからし和え」は福井特有の「地がらし」を使うのがポイント。すればするほど辛さが増し、美味しくなります。
海、山から福井の「食」を探った中高生記者たち。どの料理も素材は身近にあるものばかりですが、時間をかけて丁寧に下ごしらえをすることで、素晴らしいご馳走になることがわかりました。
福井の「食」を通じて、中高生記者のみなさんは、文化・自然・歴史を感じることができたのではないでしょうか。
これらの取材をもとに、いよいよみんなで新聞をつくっていきます!
〜新聞づくり編に続きます〜
(text:石原藍 photo:Fu production)