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繊維をテーマにともに考えるXSTUDIOがスタート! 〜第1回ワークショップ・前編〜

福井を舞台に、新たなプロジェクトを生み出すXSTUDIOがついにはじまりました。昨年までのXSCHOOLは受講生が3人1組で進行しましたが、今年度はスタジオ形式で展開。各都市から集った参加者たちが3つのスタジオに分かれ、異なる専門性を持つスタジオリーダー、福井を拠点に活躍するローカルリーダー、そしてパートナー企業とともに、「繊維」をフィールドに新たなプロジェクトを生み出していきます。

 

今回は2018年9月23日、24日に行われた第1回ワークショップの様子をご紹介します。

9月上旬に行われたXSHOOLで参加メンバーの多くは顔を合わせていたものの、全員が集うのはこの日がはじめて。オンライン上ではメンバー同士のやりとりがスタートしていたこともあり、すでに和やかな雰囲気が漂っています。


まずは一人ずつ自己紹介。

「繊維というテーマが気になった」「普段の仕事では得られない学びを得たい」「1・2期のXSCHOOL発表会で興味をもった」など、XSTUDIOに参加した動機や意気込みが語られました。

▲「ものづくりの現場を知り、繊維の新しい可能性を見つけ出したい」とアパレル企業勤務の尖(とがり)遼子さん

 

▲「そろそろ自分の人生をデザインしたいと思い参加しました」とデザイナーの目瀬幸太さん

 

▲「昨年のXSHOOLに引き続き参加しました! 初の留年生(!?) として頑張ります」とデザイナーの瓦井良典さん

 

XSTUDIOのパートナー企業を紹介します!

これから4ヶ月間をともにする、各スタジオのパートナー企業をご紹介しましょう。

STUDIO Aのパートナー企業は「明林繊維株式会社」。北陸産地を軸に再生セルロース繊維(レーヨン、アセテート、キュプラ)を中心とした繊維メーカーとして事業を展開。工程の最初から最後までを国内生産にこだわり、商品企画から原糸の仕入れ、撚糸、製織、染色加工までをまとめ上げる産元商社として、常時60社以上と提携しながら独自のテキスタイルを送り出しています。

STUDIO Aのリーダーはエレファンテック株式会社・取締役副社長の杉本雅明さん、ローカルリーダーは福井県鯖江市河和田(かわだ)地区を中心にデザイナーとして活躍しているTSUGIの新山直広さんです。

▲杉本さん(左)と新山さん(右)

 

これまでの繊維業界単独では到達できなかったアイデアを生み出したい、と杉本さん。再生セルロース繊維の奥深さ、産元商社としての明林繊維の役割や可能性を感じながら、繊維業界の新しいスタンダードを模索していきます。

STUDIO Bのパートナー企業はジャパンポリマーク株式会社。スポーツウェアをはじめ幅広い衣料にロゴマークなどをつける「熱転写ラベル」の国内トップメーカーで、サッカー日本代表ユニフォームも実は同社の仕事。自動車用資材を筆頭に、産業分野にも積極的に進出しています。熱転写ラベルは、デザインや表示の役割を超え、さまざまな機能性を与える素材としても、用途が拡大しています。

STUDIO Bのリーダーはウェブデザイナーの萩原俊矢さん、ローカルリーダーは東京から福井に移住し、「ハルキャンパス」という教育事業を手がけている森一貴さん。

▲萩原さん(左)と森さん(右)


ジャパンポリマーク社が得意とする「貼る」「くっつける」をキーワードに、同社の技術を生かしながらも異なる分野と掛け合わせていく、いわば実社会における“ハイパーリンク”の可能性を探っていきます。

 

STUDIO Cのパートナー企業は荒川レース工業株式会社。編みレースの国内トップシェアを占める福井産地において、高品質でバリエーション豊富なレース生地を一貫生産する専門メーカーです。デザイナーやアーティストとのコラボレーションも積極的に取り組み、キッチン用品やベビー用品などの商品開発にもつなげています。

STUDIO Cのリーダーはプロダクトデザイナーの吉行良平さん、ローカルリーダーは企業の商品開発やブランディングを手がけるプランナーの坂田守史さん

▲坂田さん(左)と吉行さん(右)

 

編み方ひとつで驚くほど風合いと機能が変化するレース。荒川レース工業がこれまで生み出してきた膨大な編みパターンのアーカイブや緻密な製造工程に、すでに吉行さんも大興奮の様子です。机上で考えるよりも実際に手を動かしながら、レースという素材のさまざまな「よさ」を探っていきます。

さまざまな角度から福井を知るプログラムが盛りだくさん!

第1回ワークショップでは、さまざまな角度から福井を知るためのプログラムが行われました。

1日目の昼は、手づくり郷土料理の持ち寄りランチ。

テーブルには参加者がひとり一品、調べてつくった福井の郷土料理が並べられ、みんなでシェアしながらランチタイムを楽しみました。

▲STUDIO Aのテーブルは、焼き鯖寿司やへしこ、もみわかめを使ったおにぎりや越前市の奇祭で食べられるきんぴらごぼう、うどんとそばが一緒になった“うそば”が。

 

▲STUDIO Bは前夜、ローカルリーダー森さんの家に集まって仕込みをしたそう。麩のからし和えやたくわんの炊いたのなど福井の家庭ではおなじみの料理が並びました。

 

▲STUDIO Cは厚揚げや野菜の煮物、白和え、小鯛の笹漬けの押し寿司などのほかに、福井のソウルフードである、あの焼き鳥屋さんを彷彿とさせる串料理も!

 

▲これはもしや……!? ピンときた方は福井通! 専用台も手づくりというこだわりようです。

 

福井の郷土料理は、報恩講(ほうおんこう)と呼ばれる法要のときの精進料理や、寒さが厳しい冬のタンパク源になるもの、保存がきくものなど、気候や宗教、文化が大きく影響しています。

地域に根づいた産物を使い、独自の調理方法でつくられる郷土料理のルーツを知ることで、福井の歴史や風土を知る良いきっかけとなりました。

▲料理について調べたことやエピソードも披露しました。

 

▲写真を撮ったり、スタジオを超えてシェアしたりと大満足のランチタイム!

 

2日目に行われたのは、福井ゲストハウスSAMMIE’Sの森岡咲子さんによるセッション「30分では伝えきれない福井」。福井の地理や名所案内、歴史や文化風土、生活習慣、働き方、教育、暮らし、そしてここ近年の動きがわかりやすく凝縮され、30分とは思えないほど濃密な時間を過ごしました。はじめて訪れた人も福井の風土がイメージできたのではないでしょうか。

ゲストハウスのオーナーとして、福井を訪れるさまざまなゲストと接している森岡さんならではの視点に県外の参加者はもちろん、福井在住の人も「へぇ」「なるほど!」のオンパレードでした。

同じく2日目には徳山大学経済学部・大田康博教授による講義「福井繊維産地変革への視点 モノとヒトの新しい関係をつくる街へ」も行われました。国内でも最大規模の合成繊維産地である福井。XSTUDIOに先駆けて福井産地のリサーチを敢行された大田先生より、木綿などの天然繊維とはまた違う、合成繊維ならではの課題や可能性を、国内外の繊維産地の事例をまじえながらご紹介いただきました。

▲全国の繊維産地やフランス・イタリアでも調査を進めている大田教授

 

繊維産業と国内外の産地を長年研究してきた大田教授の知見が詰まった講義は、繊維業界に馴染みがなかった参加者にとってもわかりやすく、これからの約120日間に向けて、知識の土台が整ったようです。

福井の歴史や風土、繊維産業の成り立ちなど、さまざまな学びを経た参加者たち。後編は3つのスタジオの活動に迫っていきます!

 

text:石原藍 photo:片岡杏子


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