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XSTUDIO 2018 note

XSTUDIO でプロジェクト創出に取り組むメンバー、リーダー、パートナー企業がそれぞれの視点から活動を記録し、思いを綴る実験ノート。
STUDIO C
[メンバー] 前田 裕斗 2018.09.24

手を動かすこと

9月、2度目の福井市を訪れた。いよいよ始まる XSTUDIO。メーカーに勤めながらも何かを作ったことのない自分が、「いいもの作ろう」なんて会社で軽々しく言えないな、とひと思いに参加したこのSTUDIOがいよいよ動き始めた。

まずはパートナー企業の荒川レースさんの工場を見学。大きな機械からとても細やかな模様・パターンが生まれることに感動と驚きを覚える。無数の細い糸が編まれ、縒り合わさった結果として、綺麗で意思を持ったレースになっていく過程はなんだか不思議で美しい。手で描かれたようなパターンを機械で作るために、それをデータに落とすことを専門に行う職業も存在するという。日常的な製品の裏側に僕らの知らない人と技術があることに好奇心の蓋をこじ開けられたように感じた。

見学後は,自分たちの気に入ったレースをいくつか選ぶ。ここで大切にしたのは各自が選ぶ上での基準をしっかり分類すること。通気とブラインドの両立を狙う機能性がかっこいい、同じパターンの繰り返しなのに一見するとランダムなパターンに見えるのが美しい、平面なのに立体を感じるのが面白い・・・。目に止まったレースから何が面白い・かっこいいと思ったのか? 抽象的な要素を因数分解し、それが本当に合っているかをまた問い直す。目と頭で考える新鮮な試行錯誤だった。

選んだレースは持ち帰って“手を動かす”実験材料にした。はんだごてで模様を切り出してみたり、切り重ねてみたり、パッチワーク的にしてみたり。思いついたらとりあえず手を動かして試してみる。自分はレースは視覚的な解像度を下げつつ、風のような触覚的感覚の補助を成すものだと思っていたので、それを確かめる形をいくつか作ってみた。

その後はメンバーで実験結果を共有。出来上がったものを見せると、自分がつまらないと思っていても他の人は異なる視点から予期しなかったよさを見出してくれる。それは逆の立場でも同じ。否定をしない緩やかで温かい共有が続く。手と頭を往復しながらモノを考えると説得力が違ってくる。進んでいく過程を残していき、ときどき見直す。気づけば遠くまで来たものだと思いながらまた検証を進める。

最後に我らがスタジオリーダー吉行良平さんかからの総括。「観察して確認するために実験を行う。それをもとに各自が得た気づきを緩やかにコラ“ホ”レーションとして共有することが大事なのかもしれません。」吉行さんの書く字と相まって、優しいまとめだった。


STUDIO C
STUDIO C メンバー
前田 裕斗 会社員(メーカー)
 
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