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しごと道
福井ではたらく人たちの「はたらき方」に焦点を当て、それぞれが大事にしていること、今考えていることを語っていただきます。第3回は福井駅前にあるゲストハウス SAMMIE'Sの森岡さんが登場します。

森岡咲子さん/福井ゲストハウスSAMMIE’S

福井ゲストハウスSAMMIE'S オーナー
森岡咲子さん

「福井にゲストハウスを作ろう」と、2013年春に名古屋から福井へのUターンを決意した森岡さん。古民家を自らリノベーションし、2015年夏には福井初のゲストハウスをオープンしました。福井に戻ってはや2年、プライベートでもパートナーとともに人生の新しいステップを踏み出した森岡さんにUターンを決めた経緯や今の思いをたずねました。

 

福井へUターンした経緯や、ゲストハウスを作ろうと思った理由を教えてください。

高校まで福井で暮らしてましたが、当時は地元に魅力を感じられなくて、福井を出ることしか考えていませんでした。東京の大学に進学し、卒業後は大手建設会社に入社しましたが、仕事は忙しいながらも都会の生活を満喫していました。私の中で大きい出来事は、やはり東日本大震災です。生きることの価値観が揺らぐような経験をして、あらためて地元に目を向けてみると、福井にはこんなに美しい自然や美味しい水やごはんがあったんだって気づいて。当時、私たちと同世代が『福井人』という本を出版したり、福井に移住してきたりしたこともあって、「福井が面白くなりそう!」という前兆みたいなものがあったんです。地元にも少しずつ帰るようになっていたある時、福井にはゲストハウスがないことを知りました。学生時代から旅行でゲストハウスを使うことが多かったのですが、年齢も境遇も違う人たちと出会えるあの大好きな場所が福井にないなんて! ないなら自分で作ろうと思いました。

 

仕事で楽しいと思う瞬間はどんな時でしょうか?

ゲストの興味に応じて人や場所を紹介したら、そのゲストが私の知らないところで福井のことを紹介してくれていた時や、1人旅同士のゲストたちが仲良くなって朝出ていくのを見送る時ですね。最近嬉しいなと思うのは、まちの人との関係ができてきたこと。これまでは一方的に紹介するばっかりだったのが、逆に向こうから声をかけてもらえるようになりました。この前も、いつもゲストに紹介する居酒屋の看板娘さんに「いつも紹介してくれてありがとー!」ってすごく熱い抱擁をされました(笑)。あとは地方のほかの地域とつながれることもすごく良くて。遠いところからでも紹介で来てくれる人がいて、本当にありがたいです。

 

福井のまちの動きや人の魅力にひかれてUターンを決めた森岡さんですが、ゲストハウスのほかにも何か活動していることはありますか

実際に誰かと何かを一緒にやっているわけではないんですが、福井のみんなとゆるやかにつながりながら、まちで起こるいろんな動きに注目しています。自分から積極的にプロジェクトをやるよりも、「今あそこでめちゃくちゃ面白いことが起こってるよ!」って面白おかしく発信して、つないでいく方が好きなのかも。だからいつも情報通でありたいし、ゲストハウスっていう場が情報をつなぐ媒体になれたらいいんじゃないかなと思います。

 

今後取り組んでいきたいことはありますか?

外国人ゲスト、とくにアジア系の人への認知率を上げていきたいと思っています。アジアを旅した時に現地の人にすごく優しくしてもらった経験があって、そのお返しをしたいというのと、世界の中の日本を考えた時に、まずは身近な国の人たちと手を取り合いたいという思いがあるからです。個人的には台湾が好きで、台湾の人とはきっと福井の魅力を分かり合える気がしています。

 

ゲストハウスをオープンしてから、変わったことはありますか?

結婚して、おなかに子どもができたこと!もうひとりだけの身体じゃないっていうこともあって、無理をしなくなりました。今までは仕事優先で、プライベートが犠牲になっても自分が納得していれば別によかったけど、家族とか自分の時間とか、プライベートでの関係性を大事にするようになりました。そうしたら、ごはんを1人で食べるとさみしいなとか、コンビニ飯よりも家でつくるごはんの方が美味しいなとか感じるようになって。生きることの基本を考えるようになり、「生き物としてきちんと整った」感じがします。

▲2017年1月に行われた結婚式のひとコマ。メガネ好きの旦那さんにちなんで、全員メガネ姿でビシっと決めています!

 

子育てと仕事の両立がしやすいと言われる福井ですが、今感じていることや、今後のことについて教えてください

つわりのひどい時に東京に行ったんですが、どんなに気持ち悪くても大勢の人がいるところに行かなきゃいけなくて、しかも周りに気づいてもらえないっていう状態が、本当に大変や!と思いました。福井はそれに比べると、子どもを目にしたり接したりする機会が多いし、幸いにも出産する病院や保育所のこと、子どもが病気の時の対応など、頼れる人がいるので今のところあまり心配はしていないんです。ゲストハウスも自分で立ち上げて一生懸命運営している場所だから、自分が全部見ていたいという気持ちが大きかったけれど、これからは仕事が100パーセント!というわけにもいきません。SAMMIE’Sという場所が持つ力や楽しさをほかの人にも味わってもらいながら、納得して任せられる人にお手伝いしてもらいたいなと思っています。

(text:唐川恵美子 photo:出地瑠以、前田龍央by Dot.Graph) 

 

福井ゲストハウスSAMMIE'S
〒910-0859 福井市日之出2-6-8
TEL 0776-97-9559
WEB http://sammies.jp

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